Q Research Japan/Nihon #22より
日本語って日本では正式には公用語ではないとは、知らなかった….
「日本語が公用語」の国は存在するのか
2023.03.25
https://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=3755
世界中を探しても、「日本語が公用語」の国は存在しません。実は、日本国憲法には日本語を公用語と制定していないため、日本語は事実上の日本の公用語ですが、実は正式な公用語ではないからです。
しかし、「日本語が公用語」の地域が世界に一つだけ存在します。それは、パラオ共和国(以下「パラオ」)のアンガウル州です。「アンガウル州憲法」には、日本語を公用語とすることが明記されています。
ではなぜ、パラオのアンガウル州では、日本語が公用語となっているのでしょうか。歴史的背景となる、日本とパラオの深い関わりからみていきましょう。
パラオで日本語が広まった歴史的背景
常夏の青い空とサンゴ礁の美しい海が広がる「南国の楽園」と称されるパラオは、西太平洋にある2百余りの小さな島々からなる島嶼(とうしょ)国家です。
大航海時代に西洋列強により“発見”されたパラオは、1885年にスペインの植民地となり、1899年にスペインからドイツへ譲渡されました。そして、1920年に第一次世界大戦後のパリ講和会議によって、国際連盟の認めた日本の委任統治領となりました。
日本は、パラオの教育・医療・道路などのインフラをはじめとした、経済や政治などの社会基盤の整備に努めました。そして、日本の統治期間中に数多くの日本人がパラオに移住したことにより、パラオでは日本語が広まることとなりました。この時期の影響から、現在でも使われている数多くの日本語由来のパラオ語が誕生しました。
しかし、1947年に第二次世界大戦における日本の敗戦により、1994年にパラオ共和国として独立するまで、パラオは国際連合の信託統治地領としてアメリカの管理下に置かれることとなります。
以上のような歴史を経て、現在のパラオの公用語は、元々使用されていたパラオ語に加えてアメリカの信託統治時代を経て英語が加わる形で、パラオ語と英語となっています。
「日本語が公用語」の州・アンガウル州
さて、冒頭のパラオのアンガウル州に戻ります。アンガウル州(アンガウル島)は、東西約3km・南北約4kmの小さな隆起サンゴ礁の島です。パラオ南部に位置し、パラオ16州のうちの1州となります。
日本の統治期間中、多くの日本人がパラオに移住しましたが、終戦後、帰還を余儀なくされました。しかし、唯一アンガウル州のみ、一部の日本人が残り居住を続けました。
そのため、上述したとおり日本統治下後にアメリカ統治下となったパラオでは英語が普及しますが、アンガウル州では日本語も身近な言語として使われつづけました。そして、1982年にアンガウル州憲法にパラオ語・英語と並んで、日本語も公用語として制定されました。
ただし、2023年現在、アンガウル州でも日常的に日本語を話す住民は少ないようです。
日本語由来のパラオ語
ところで、パラオ語には約1000語の日本語由来の言葉が存在し、2023年現在もパラオ語として使われてPost too long. Click here to view the full text.